不動産を売却して利益が出た場合には、税金計算上の儲けである「譲渡所得」が発生することが多く、その場合には確定申告が必要です。
損失が出た場合には申告は不要ですが、利益が出ているのか損失が出ているのか分からない方も多いのではないでしょうか?

また、損失が発生した場合であっても、一定の場合には申告をすることで給与所得などと相殺することができます。
まずは、自分に利益が出ているのか損失が出ているのかを把握するところから始めましょう。



不動産の譲渡所得の計算方法
不動産の譲渡所得は以下のように計算します。
収入金額 - (取得費+譲渡費用) - 特別控除額 = 課税譲渡所得金額
つまり、以下4つの構成要素で成り立っています。
- 収入金額
- 取得費
- 譲渡費用
- 特別控除
収入金額から残り3つを差し引いて所得が算出される形ですね。



収入金額となるもの
収入金額は比較的シンプルです。譲渡相手から受け取った金額と、固定資産税等の精算金が対象です。
受け取りは一般的に手付金と残代金の合計となります。中古物件では固定資産税や管理費等の精算金も収入金額として扱われますので、注意しましょう。
取得費となるもの
取得費は、購入時に支払った建物や土地の代金に、以下のような付随費用を加えて計算します。
- 仲介手数料
- 不動産取得税
- 司法書士への登記費用
- リフォーム費用(一定条件下)
領収書や請求書の保管がないと取得費に算入できませんので要注意です。
なお、建物部分については減価償却(劣化分)を控除する必要があります。具体的な按分・減価償却計算は別記事で解説予定です。



譲渡費用となるもの
建物や土地の売却のために要した費用が該当します。
- 仲介手数料
- 印紙税
- 建物の取り壊し費用(譲渡のために行った場合)
登記の抹消費用など、譲渡に直接関係しない費用は含まれません。



特別控除額
特別控除として最も活用されるのが「3,000万円の特別控除(マイホーム控除)」です。
すべての売却に適用されるわけではありませんが、適用要件はそれほど厳しくなく、節税効果が大きいため、必ず適用可否を確認しましょう。



譲渡所得の確定申告に必要な資料
確定申告に必要な資料を以下に整理します。
① 購入時の資料
- 売買契約書(土地)
- 建築工事請負契約書(建物)
- 印紙代の領収書
- 不動産取得税の領収書
- 登記代行報酬(司法書士)
- 仲介手数料の請求書または領収書
② リフォーム関連
- 高額なリフォームの見積書
- 請求書



例えば、キッチンを最新設備に変えるのは取得費に入りますが、壊れた水道管の修理は違います。請求書には記載されていないことが多いので見積書を貰うといいですよ。保管も忘れずにお願いしますね。
③ 売却時の資料
- 売買契約書
- 印紙代の領収書または請求書
- 仲介手数料の請求書または領収書
- 最新の登記簿謄本
④ マンションなどで建物と土地の内訳が不明な場合
- 固定資産税課税明細書



まとめ
不動産譲渡の計算過程を解説しました。
実務的にはExcelでの計算や、譲渡所得の内訳書の作成など細かい作業もありますが、基本的な流れは上記の通りです。



会計士からのワンポイントアドバイス






よくある質問












5年以上持っていた場合の長期譲渡所得なら所得税15%+住民税5%で合計20%。
5年未満の短期譲渡所得だと所得税30%+住民税9%で39%になります。
長く持っていた方が税率が低くなるんです。
さらにマイホーム軽減税率の要件を満たすと、所得税10%+住民税4%で14%になります。






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