クラウド会計ソフトの普及により、会計業務の効率化が急速に進んでいます。
特に「freee会計」の自動登録機能は、税理士や会計事務所の業務を大きく変革し、平均して月間作業時間を30%削減した事例も報告されています。本記事では、freee会計の自動登録ルールに焦点を当て、その導入メリットと効果的な活用方法について解説します。
この記事は、税理士や会計事務所職員向けに、freee会計の自動登録ルールの活用法について解説しています。
- freee会計の自動登録機能って本当に使えるの?
- 自動化すると逆にミスが増えないか心配…
- どんな取引を自動化すればいいの?
- 他の会計ソフトとどこが違うの?
【基礎知識】freee会計とは?税理士事務所が知っておくべきポイント
freee会計はクラウド型の会計ソフトであり、特に中小企業や個人事業主向けに開発されたサービスです。従来の会計ソフトとの最大の違いは、銀行口座やクレジットカードと連携して取引データを自動で取り込み、さらに自動登録ルールによって仕訳を自動的に計上できる点にあります。




freee会計の主な特徴
freee会計には以下のような特徴があります:
- クラウドベースで、いつでもどこでもアクセス可能
- 銀行口座やクレジットカードとの自動連携(2025年4月現在、全国400以上の金融機関と連携可能)
- 自動登録ルールによる仕訳の自動計上(本記事のメインテーマ)
- 請求書や経費精算など関連業務との連携及び自動化
- インボイス制度対応、電子帳簿保存法対応
税理士・会計事務所にとっての最大のメリット
税理士や会計事務所スタッフにとって、freee会計の最大のメリットは「仕訳を手動で計上しなくても、自動登録ルールに基づいて自動で登録される」という点です。ただし、正確性確保のために定期的な目視確認が推奨されています。この機能により、以下のような効果が期待できます:
メリット | 具体的効果 | 従来の会計ソフトとの比較 |
---|---|---|
時間削減 | 記帳業務の工数を平均30%削減 | 手動入力が中心で時間がかかる |
ミス防止 | 入力ミスのリスクを大幅に低減 | 手動入力によるミスが発生しやすい |
迅速化 | 月次処理が最短2日で完了 | 通常5〜7日かかることが多い |
高付加価値化 | コンサルティング業務に時間を割ける | 入力作業に追われがち |



【詳細解説】freee会計の自動登録ルールとは
自動登録ルールとは、特定の条件に一致する取引が発生した際に、あらかじめ設定した仕訳を自動的に登録する機能です。従来の会計ソフトでは、AIによる仕訳の「推測」や「提案」はあっても、完全に「自動で登録する」機能は限定的でした。この点がfreee会計の大きな優位性と言えます。
自動登録ルールが特に効果的な場面
自動登録ルールは、特に以下のような場面で効果を発揮します:
場面 | 具体例 | 設定のポイント |
---|---|---|
固定費 | 家賃、サブスクリプション | 完全一致+金額指定 |
定期支払 | 光熱費、通信費 | 部分一致+金額範囲 |
特定取引先 | 仕入先、外注先 | 取引先名の部分一致 |
特定キーワード | 「Amazon」「コンビニ」など | 部分一致+勘定科目指定 |






自動登録ルールが向いているクライアント
全てのクライアントに同じように効果があるわけではありません。特に以下のようなクライアントに対して、自動登録ルールは大きなメリットをもたらします:
- 期中は現金主義で処理しているクライアント
- 定型的な取引が多いクライアント(月間100件以上の取引があるビジネス)
- 銀行口座やクレジットカードとの連携に抵抗がないクライアント
- キャッシュレス決済を主に利用しているクライアント






期中は入金時に全部自動で仕入や売上を計上して、期末に売掛金や買掛金の調整をするクライアントにも相性がよさそうですね!
【実務ガイド】自動登録ルールの設定方法(画像付き)
自動登録ルールの設定は比較的シンプルですが、効果的に活用するためにはいくつかのポイントを押さえる必要があります。ここでは具体的な設定手順と注意点を解説します。
設定手順
freee会計にログインし、「自動で経理」画面に移動します
一覧から自動登録ルールを作成したい取引の「詳細」を選択します


画面右側に表示される「自動登録ルールを編集」ボタンをクリックして、登録ボタンを選択


取引名の一致条件(完全/部分)、勘定科目、税区分、金額条件などを設定します


自動登録される内容を確認し、保存するを選択します。





ここまで設定すると、以後は条件を満たした取引は勝手に登録されるようになるで!!
部分一致と完全一致の使い分け
自動登録ルールを設定する際に重要なのが、「部分一致」と「完全一致」の適切な使い分けです:
一致条件 | 適した場面 | 注意点 | 具体例 |
---|---|---|---|
完全一致 | 取引名が毎回同じ場合(固定費など) | 取引名の表記が少しでも異なると適用されない | 「家賃 株式会社不動産」 |
部分一致 | 取引名に特定のキーワードが含まれる場合 | 意図しない取引にも適用される可能性がある | 「Amazon」「電話料金」 |
例えば、オフィス賃料の引き落としなど毎月同じ表記で発生する取引は「完全一致」、特定の携帯電話会社からの請求など表記が微妙に異なる可能性がある場合は「部分一致」が適しています。






設定時の注意点と具体例
自動登録ルールを設定する際には、以下の点に注意しましょう。
- 金額条件も組み合わせることで、より精度の高いルール設定が可能
- 自動登録されたとしても、定期的に目視で確認する習慣をつける
- 同一の取引に複数のルールが適用される可能性がある場合は優先順位を考慮する
具体的な設定例を見てみましょう。
取引内容 | 設定条件 | 自動登録内容 |
---|---|---|
オフィス賃料 | 取引名「オフィス賃料」(完全一致) 金額「55,000円」(完全一致) | (借)地代家賃 55,000円 (貸)普通預金 55,000円 |
携帯電話料金 | 取引名「ドコモ」(部分一致) 金額「5,000円〜8,000円」(範囲指定) | (借)通信費 xxx円 (貸)普通預金 xxx円 |
Amazon購入 | 取引名「Amazon」(部分一致) 金額「30,000円以下」 | (借)消耗品費 xxx円 (貸)クレジットカード xxx円 |



【メリット解説】freee会計の自動登録機能がもたらす効果
従来の会計ソフトと比較した場合、freee会計の自動登録機能がもたらす具体的なメリットを詳しく見ていきましょう。業務効率化の実現
自動登録ルールを適切に設定することで、以下のような業務効率化が実現します。(独自統計)
他の会計ソフトとの比較
他の会計ソフトでは「仕訳の推測」や「候補の提示」はありますが、freee会計のような「完全自動登録」機能は限定的です。この点がfreee会計の大きな優位性となっています。
クライアントとの関係強化
自動登録機能の活用は、税理士事務所とクライアントの関係にも良い影響をもたらします。
- より迅速なフィードバックや経営アドバイスが可能に
- クライアントの事務負担の軽減(領収書整理・入力作業の削減)
- リアルタイムでの経営状況の把握と共有
- より付加価値の高いサービス提供へのシフト






【Q&A】クライアントからよくある質問と回答
freee会計を導入・提案する際に、クライアントから最もよく聞かれる質問とその回答例。
- 自動で登録されると、逆にミスが増えたり見落としが発生したりしないですか?
-
自動登録ルールは「完全に任せる」のではなく「基本的なルーティンワークを自動化」するためのものです。設定したルールに基づいて自動登録されますが、税理士事務所として定期的なチェック体制を整えれば問題ありません。
- 今まで弥生会計など手動入力が中心の会計ソフトを使っていましたが、freee会計は使いにくくないですか?
-
確かに操作感は異なりますが、freee会計の自動化機能に慣れると、むしろ手動入力の手間が大幅に削減されます。移行期間中は両方の操作感の違いに戸惑うかもしれませんが、結果的に業務効率が向上したとの声をいただいています。
【まとめ】freee会計の自動登録ルールを活用した業務効率化
本記事では、freee会計の自動登録ルールについて、その特徴やメリット、設定方法、活用のポイントを解説しました。ポイントをまとめると以下の通りです:
仕訳を手動で計上せず自動登録されることによる業務効率化。ただし定期的な確認は必要。
定型的・定期的な取引、特定のキーワードを持つ取引に特に効果的
部分一致と完全一致の適切な使い分け、定期的な目視確認が重要
単なる推測ではなく自動登録が可能な点が大きな優位性
税理士事務所として、freee会計の自動登録機能を活用することで、単純作業から解放され、より高付加価値なサービスを提供することが可能になります。
業界が大きく変化する中、クラウド会計ソフトと自動化技術を上手に活用することで、税理士事務所としての競争力を高め、クライアントにより良いサービスを提供していきましょう。



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